文豪たちが愛した万年筆と、ちょっとした小話
作家を目指したことがある人ならば、誰でも一度は万年筆に憧れたことがあるのではないでしょうか。
かくいう私も、万年筆にはそこはかとないロマンを感じるタイプの人間です。
文豪たちはどんな万年筆を使っていたんだろう……?
そう思ったので、「文豪たちが愛した万年筆」をテーマに、ちょっと調べてみました。
※ちなみに、情報源は「万年筆の教科書 (玄光社MOOK)」です。
夏目漱石
夏目漱石は、『余と万年筆』というエッセイを書いています。
エッセイに書くぐらいだから、かなりの万年筆好きなのか……! と思いきや、そんなこともなかったようです。
ペリカンの万年筆を使ってみたけど使いにくいな、とか。
もらった万年筆を器械体操をしていたら折ってしまったよ、とか。
オノトの万年筆は使いやすいな、とか。
そんな小話が面白おかしく書いてあります。
『余と万年筆』は短いエッセイですし、青空文庫で無料で読むことができるので、気になる方はぜひ読んでみてください。
ちなみに、「オノトの万年筆」はイギリスのデ・ラー・ルー社が製造していたのですが、現在は生産が中止されていて、いまや幻の万年筆となっています。
(その後、丸善がオノトを継承し、丸善オリジナルのオノトモデル万年筆を販売しましたが、これももう生産が中止されている……のか? アマゾンで探してみましたが、現在お取り扱いできません、となっていました。)
井上靖
『闘牛』で芥川賞を受賞した井上靖は、「モンブラン・マイスターシュテュック146」という万年筆を愛用していました。
文字を書くときの感覚を自分好みに調整するためなのか、井上靖の万年筆にはインク窓の部分に絆創膏が貼られていたそうです。
握りすぎて、絆創膏が黒ずんでいたのだとか。
中里恒子
中里恒子は、『乗合馬車』で女性初の芥川賞を受賞しています。
そして、中里恒子も、『萬年筆とわたし』というエッセイを書いています(残念ながら、私は『萬年筆とわたし』を読んだことがないですが……。)。
そのエッセイの中では、「ボールペンは使わない、かたくて手が疲れるから」と語っているそうです。
彼女は字が大きく筆圧が強かったせいか、万年筆の痛みも早かったそうですよ。
彼女が愛用していた万年筆は、「シェーファー・シュノーケル・アドミラル・パステルグリーン」です。
↓↓↓ 中里恒子が愛用していたモデルではないですが。シェーファーの万年筆。
中野孝次
中野孝次の愛用した万年筆は、「モンブラン・ライターズエディション・オスカー・ワイルド」です。
この万年筆は、友人であり小説家の近藤啓太郎との賭碁で勝ったお金で買った万年筆とのこと。
彼はこの万年筆を「近藤記念」と名付け、愛用していました。
まとめ
文豪のエピソードって、オシャレでかっこいいですよね。
私もいつか、作家として大成し、エピソード付きで愛用の万年筆を紹介してもらいたいものですね……!
ほかにも、三島由紀夫さん、星新一、司馬遼太郎、山崎豊子、林真理子、池波正太郎、井伏鱒二といった方々が、万年筆を愛用しているそうですね!(ネットで見つけた情報のため、真偽は確かめていないです。)